■ 体言止めの使用                    
●例1 歓喜のうなりを上げるエンジン。
●例2 彼のくれた花束。
●例3 紅の残照に沈む銀杏並木。
●例4 夏の陽射しを浴びて銀色に輝く海原。
●例5 凛とした声を響かせる少女。

 ↑これらの文章は、『体言止め』と呼ばれます。
 『体言』とは、「自立語で活用しない、文の主語にできるモノ」。
 要するに『名詞や代名詞』のことですね。
 『体言』である名詞や代名詞で『止める』から『体言止め』と呼ばれます。

 この体言止めは歯切れが良く、余韻・余情を生じさせるのに効果的です。

 文章に味わいを持たせることを追求した和歌・俳諧から生じた描写テクニックです。
 情景描写などに使用すると、景色の美しさをより引き立てることができます。
 ただし、「わー、これは便利な技だぁ!」などと思って、
 安易に多用してはいけません(汗)。
 体言止めはブツブツと途切れた形になるため、
 読者に対して、とても投げやりな心証を与えるのですね。
 しかも、過分に余韻・余情を生み出すと、
 筆者が自分の文章に酔っているような悪い印象も与えます。

 そのため、連続で使用すると、逆に文章の質を落とすことに繋がってしまうのです!

 例えば、
「キミの好きな食べ物は何ですか?」
「ラーメン」
「ラーメンです」

 どちらの言葉遣いに好感を持ちますか?
 「ラーメン」と体言止めで答えた方には、投げやりな感じを受けるでしょう。
 このように体言止めは、メリットとデメリットを併せ持っています。
 そのため多用や連続での使用は避け、
 余韻を残したいという、ここぞという場面に使ってください。


■ 比喩を使おう                          
 なにかわかりづらいことを説明するときには、比喩(例え)を使うと効果的です。
 例を上げてみましょう。

●比喩を使わない文章例
 満開の桜の木。
 舞い散る桜の花弁に、あたりは満たされていた。 
 
●比喩を使った文章例
 繚乱と咲き散る桜の花。
 そよ風が梢を揺らすたびに、白い花弁は飛沫を散らすかがごとく盛大に宙を舞う。
 まるで満ちに満ちた木の生気が、蕩々と溢れ出るかのように。


 上が比喩を使わないバージョン、下が比喩を使ったバージョン。
 どちらが、より読者に訴えかける映像を伴っているかは一目瞭然でしょう。
 他にも例をあげます。

●比喩の例
 キャッチボールのできない人は野球ができません。
 ドリブルのできない人はサッカーができません。
 同様に、基礎的な文章作法を知らないは小説が作れません。
 
 ↑このように他のモノに例えると、
 単に『基礎的な文章作法を知らない人は小説が作れません』
 と書くより、はるかにわかりやすく説得力を持ちます。 

 例えとして引き合いに出すのは、野球やサッカーなどのメジャーなスポーツや、
 誰でも知っているような有名なモノが効果的です。
 あまりマニアックなモノを例えとして使うと、
 逆にわかりづらくなるので、注意が必要ですよ。

●比喩の例・2
 高速道路は動脈だが、毛細血管にあたる市町村道も重要だ。

 ↑こんな風に、人の身体を例えに使うのもわかりやすいですね。

 文章が上手くなりたい人は、
 いろいろな比喩のパターンを研究してみることをオススメします。
 あまりに陳腐な比喩を使うことは逆効果ですが、
 より多くの比喩のパターンを知っておくことが、
 自分独自の表現を編み出す下地になります。


■ 親しみやすい文章                         
 お気づきかもしれませんが、
 このサイトの文章は会話調で、あなた1人に語りかけるように書いています。
 なぜなら、

 会話調の文章の方が、読みやすく親しみやすいからです! 

 本などでは「〜である」「〜だ」という「である調」の文章の方が一般的ですが、
 これは尊大でエラソーな印象を与えてしまうので、良くないです。

 本を書いてる著者は、えらい学者さんや著名な方だから問題ありません。
 でも、顔も知らない一般人に「である」など教え諭されるように言われると、
 なんとく不快ですよね……
 
 また、会話調の文章には、あなたの個性が反映されやすくなります。

 無個性な文章で書かれた文面より、
 個性的な文章で書かれた文面の方が、親しまれやすいです。 

 ただ、いくら会話調の文章だからといって、乱暴な言葉遣いをしてはダメですよ。
 そんなことをすると反感を持たれます(汗)。
 基本的に「〜です」「〜ます」の「ですます調」の文章がグットです。

 また、効果的なテクニックとして、
 読者に話しかけるときは「あなた」と呼びましょう。
 大勢の人に呼びかけられた文章では親近感は湧きません。

「みなさん、ゴミを拾いましょう」
 
 なんて呼びかけられても、誰も反応しませんよね。
 でも、

「あなたも、ゴミを拾いましょう」

 と言われたらどうでしょう?
 おっと、思わず反応してしまうはずです。
 自分1人にかけられた言葉というのは、無視できないモノなのです。
 
 このサイトでも、「みなさんも」とは呼びかけていません。